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「はあ…っ、はあ…っ」
息を切らしながら部屋の前へと足を進めた。
グ、と掌を握り締めてドアをノックしようとすると、ガチャリとドアが開く。
「あき…ら?」
目を見開いた碧海が目の前に居た。余程驚いたのか。手に持っていたコートを床に落としている。
「今…いい?」
そう告げると、ああ、と呟いて腕を掴んで部屋へ招き入れた。
「な、んだよ」
先程あんな去り方をしたためか。空気がぎこちない。
「…俺は、ずっと好きだった。碧海が帰って来ない夜はいつだって苦しくなった。だけど、好きなんだ。振り回されたくない、そう思うけど、笑ってる碧海が好きだったから。どんだけ冷たくされても…結局は碧海が好き。」
「あき…」
「好きなんだよ、碧海」
そう告げて、一息つく。
(これで、すっきりした)
「じゃあ、もう行くね」
そう言って相手に背を向けると後ろから抱き締められた。
「俺も、言いたいことがある」
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