第七話

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「んじゃまずは飯っ!夷月ちゃん何食べたい?」  平助が歩きながら夷月に言った。 「うーん。ラーメンっ!」 「「「……。は……?」」」 「夷月の言葉を聞いた瞬間三人の動きが止まった。 「ら……って……何?どんな食べ物……?」 「ん、覚えてない!」  夷月は平助の質問にきっぱりと答えた。 「……いや覚えてないなら言うなよっ!」 「仕方ないじゃん記憶ないんだもん!」  夷月はむくれた。 そんな様子を見ている新八は、うーん、と唸る。 「……どうも中途半端に記憶なくしたみたいだなぁ……」 「それかちっと位思い出したとか?」  左之助も参加する。 「いやそれはないかも。思い出したにしちゃ半端過ぎる」 「まぁ記憶喪失って言やぁ、ちっと思い出したら一度に記憶戻るって言うしなぁ」 「ホントかどうかは分かんないけどな」 「なった事ねぇもんな、俺らは」 「うん」 「「って二人して何相談してんのっ!」」  夷月と平助も言い合いを止め参加しようとする。 が…… 「「……。別に?」」  一度新八と左之助はお互いを見てそう答えた。 「「別にじゃねぇよ!教えなさいっ!」」  夷月と平助は二人の反応に納得できずさらに問いつめる。 「え……だからいや別に何でもないってば……な、なぁ左之?」 「おっ……おぅ」  いや二人ともめっちゃ怪しすぎるから。そう言おうとした夷月の言葉を遮るように、後ろの方から爆音が響いた。  四人が爆音の方をみると、店から煙が出ていた。どうやら飲み屋のようだ。 そして所々損傷していた。 「ふぅ……ったく、俺に楯突こうなんざ百年早ぇぜ」  煙が収まるとそこにはボロボロの男の胸ぐらを左手で掴み持ち上げ、右手には木刀を持つ、年は夷月と同じ位の濃い灰色の髪の少年がいた。 .
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