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ただ、無事に家に連れて帰り
ハルとの生活を始めてすぐの頃であったように思う
今、思えばこの時既に母親の
『勘』が我が子の“異常”を訴えていたのかもしれない……
なんとなく、本当になんとなくだけど一つ気になる事があった
それは、頭皮の皮膚が、やけに厚い『カサブタ』に覆われていた事
勿論、産まれたばかりの乳児には頭皮のカサカサや湿疹はよくある事で
私もこの時、安易にただの
『脂漏性湿疹』というもので
ハルもおそらくそれなのだろう
と、そう思っていた
けれども……、なんだろう――
わからないけど、何故だかこの時から私の胸の内に漠然としない
“不安”と“胸騒ぎ”が確かに芽吹いていた
どこか“ふにおちない”そんな気持ちがザワザワと音を立てる
けれど、そんなハルの体の微かな予兆は、新たに赤ちゃんを迎え入れた忙しい日々の生活に
もみ消され……
私達親子は、この時まだ、普通で平凡な毎日を送ってゆくのだった
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