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目まぐるしく流れる日々の生活と、愛おしい小さな二人の天使達の育児におわれていた。
今、思い返すと乳児期のハルは
相変わらず頭皮が厚く、覆われているという心配はあったものの
性格は非常におっとりとしていて、母親を困らせるように泣くわけでも無く、本当に手のかからない子供だった
一日の大半を寝て過ごし、ぐずる事もなく……
本当に乳幼児がいる家庭なのかと疑う程の穏やかな生活
勿論、昔から『寝る子は育つ』というように赤ちゃんの時期は活発な行動をする訳ではないし、寝ているのが当たり前なのだけど
ハルの場合、上の子と比べてもほとんど泣くことはしなかった
ミルクの時間を、とうに過ぎても泣かないし、夜中は私が寝る前に母乳を飲ませれば朝までグッスリ
珍しく泣いたと思えば……
女の子のような消え入りそうに弱々しい泣き声だった
けれど私自身、生まれつき体が弱く、幼少の頃に大病を患った事もあり、二人続けての出産は正直、かなり体にこたえるものがあった
その為、産後の肥立ちも悪い中一歳半の長女と、生まれたてのハルのお世話……
家事に、タイミング悪く転勤も重なってしまって―――――
毎日、気力だけでの生活が続いていた
そんな日々であったから余計に
当初は、母親の勝手な解釈で
『この子は体の弱い私を、小さいながらに気遣ってくれているのかもしれない』
なんて……、そんなふうにも思っていた。
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