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夜になるとあの人がくる 白い長いお洋服 確か「白衣」といったかしら   白衣をなびかせてあの人がくる 私の病気を治す人 確か「先生」といったかしら   先生は言うの たった一言よ   「忘れなさい」   言うの… 言って… 去っていく…   その後私が泣いたって 慰めてくれる手も 包んでくれる体もないの   だって夜ですもの   夜になるわ 白衣が見えるわ 先生がきたの たった一言よ   忘れなさい   それに私は涙する 誰にも知られず涙する   私の過去はいずこへか 覚えているのは断片的な ただ少し暗い過去だけ   私はもう忘れたの 忘れなさいはいらないの   殻に閉じこもるなという偽善者よ 目を開けという愚か者よ   夜を知れ。
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