~黄昏の泉~

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………迷った……。   …完全に…迷ってしまった…。     私たちは今、ソルの花が咲いているという『黄昏の泉』を目指して森の中を歩いている…んだけど…。   「ねぇ、マナ?ここ、さっきも来たよ?」   「……え……?」   「だってほら、コレ…」   ナハトが指差した枝には、私が「迷わないようにするため」に結んだリボンが付いていた。   …リボン…意味無かったみたい…。   …しかももう、かれこれ五回は同じ会話をした気がする…。   段々暗くなってきたし…。   「ねぇマナ~?あれ何~?」   迷っている事と疲労で、多少イラついている私とは裏腹な、呑気そうな声でナハトが話しかけてきた。   「…何…っ……!?」   私はナハトの指差したものを見て絶句した。   「みゃう?」   人の頭くらいの白い毛玉のような、猫顔の生き物が、首(体全体?)を傾げながら、こっちをじぃっと見ていた。   「……モコ…だね…」   私は、その『魔物』の名前を言った。
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