24人が本棚に入れています
本棚に追加
/61ページ
………迷った……。
…完全に…迷ってしまった…。
私たちは今、ソルの花が咲いているという『黄昏の泉』を目指して森の中を歩いている…んだけど…。
「ねぇ、マナ?ここ、さっきも来たよ?」
「……え……?」
「だってほら、コレ…」
ナハトが指差した枝には、私が「迷わないようにするため」に結んだリボンが付いていた。
…リボン…意味無かったみたい…。
…しかももう、かれこれ五回は同じ会話をした気がする…。
段々暗くなってきたし…。
「ねぇマナ~?あれ何~?」
迷っている事と疲労で、多少イラついている私とは裏腹な、呑気そうな声でナハトが話しかけてきた。
「…何…っ……!?」
私はナハトの指差したものを見て絶句した。
「みゃう?」
人の頭くらいの白い毛玉のような、猫顔の生き物が、首(体全体?)を傾げながら、こっちをじぃっと見ていた。
「……モコ…だね…」
私は、その『魔物』の名前を言った。
最初のコメントを投稿しよう!