1章.崩落の記憶

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  さらにもう一人の戦士が前に進み出る。 『見ての通り貴様は敗北した。最早この世界を統べる覇者などではない』 次の瞬間、怒りや憎悪に似た差すような痛みが彼の体を襲った。 (…苦しい…たのむ…タスケテ…) 『私は負けるわけにはゆかぬー…。この怨みを“天界”に晴らすまでは!』 さらに彼の体に息も詰まるような強い痛みが走った。 まるで、彼の中の違う意識が、彼から無理やり離れようとしているようだ…。 『なにをするつもりか知らないが…止める!』 一人目の戦士が走り出し彼の体を掴む。 すると彼の体から光が溢れ、それが青年共々包み込む。 『おいっ…アダムスッ!!』 もう一人の戦士が追って掴んだ瞬間、迸る光がさらに強まり彼を襲う苦痛が限界を通り越す。 ( 僕は…みんなは… ) 光が広がり、真っ白となる。 何も見えない、何も聞こえない、何も感じないー…   僕は………         俺は……  「 アーサ=エーベルト! 」 怒号にも似た大声に、アーサは目を覚ました。  
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