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所変わって女子達。
「はい、このプリントを各自やってください」
フワフワした感じの女性が紙を配る。
この女性は如月といい、家庭科の先生である。
「如月先生~!これって提出ですか?」
生徒の一人が問う。
「いえ、提出じゃないです」
にっこりと笑って言う如月。
「じゃ先生、美味しいお菓子のレシピ教えて!」
ワッと如月の周りに数人に人だかりができる。
「では簡単に作れるものなど」
ニコニコと笑って生徒達にレシピを教えていく。
睦月はその輪に混じらず、外を眺めていた。
うつらうつらとしており、眠いらしい。
その隣りで一人の生徒が、睦月と同じように窓から景色を見ている。
その時フッと影が差した。
「――!?!?」
睦月が目を開けて見ると、そこには―
「や、むっちゃん♪眠いんか?」
何故か炙鵺がいた。
生徒は目を白黒させている。
「…先生…ここは4階だったような気がするんですが…」
淡々と睦月が言う。
「まぁ、細かいこと気にせんでええ。それより、由羅知らん?これ届なあかんねん」
ヒラッと紙を見せる炙鵺。
「どこが細かいんですか…」
ハァと溜め息をつき、睦月が言う。
「由羅先生なら多分、化学室じゃないですか?」
「おーきにむっちゃん♪」
そう言って炙鵺は下に降りる。
「え、だからここ4階で――」
バッと生徒が下を見るがそこには、何もなかったような顔をして校舎に入って行く炙鵺の姿があった。
「……!!……!?」
口をパクパクさせて睦月を見る生徒。
「気にしない方が良い」
そう言って睦月はまたウトウトとし始めた。
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