いつもの日常も非日常

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仮想高校の生徒は個性的である。それはもう性格から身なりまで。 問題は日常茶飯事。 さぁ、今日は誰が起こす者やら… お昼休みに流れる優しくまったりとした空気に身をゆだね、長い黒髪を風に遊ばせながら少女は屋上にいた。 日が少女にさんさんと当たり、彼女の白い肌を一層白く魅せている。 「むーつきっ!」 バッと出てきた紅い髪の少年にも驚きもせず、少女…睦月は彼を見返す。 「何やってんの?」 キョトンと聞く紅い髪の少年。 「…見た通りだ」 ウトウトとしながら睦月は返す。 「…水無月は何しに?」 「僕はお散歩~」 にっこりと笑って水無月が言う。 ちなみにこの二人は幼馴染みだ。 「…次の時間、確か体育だったな?」 んんっと背伸びし、睦月が立ち上がる。 「そうだよ。今日男子は体力測定だって」 ムゥと頬を膨らませて水無月が言う。 「女子は自習らしいな」 教室に向かって歩き始める二人。 後ろから見れば兄弟にも見える。 「水無月!こんな所にいたのか」 長い黒髪を後ろで縛った少年が水無月を呼ぶ。 「皐月?どうしたの?」 少年…皐月を見て水無月が言う。 「聞いてないのか?体育外になったぞ」 「えー…走るの?」 あからさまに嫌な顔を作る水無月。 「そこは解らん。それより、早く行かないとヤバイぞ」 時計を見ると既に授業開始五分前ジャスト☆ 「ヤバッ!!じゃあね睦月また後で!!」 そう言ってバタバタと走って行く二人を手を振り、見送る睦月。 「自習…先生誰来るんだ…?」 ボソッと呟いた言葉は本人の髪によって消された。
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