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ほんの僅かに波の音がきこえた。
最初に目に飛び込んできた光景は、ささやかに波立つ水面だった。
(海?…だよねぇ?それにしては潮の香がしないなぁ……ああ、これ夢だわ)
根拠はない。
でも、そう思う。
夢の中で、夢を見ている自覚がある、という経験をした事があったので、あっさり受け入れた。
制服を着て、素足で立っていた、ゆっくりそよぐ風が気持ちいい。
「ん~宮島!?」
顔を上げて呟く。
夜明け頃だろうか?
全面藍色の空、星が幾つか輝き、水平線に並ぶ様に、一筋オレンジの光が走っている、少し眩しい。
足元は赤い板張りの廊下だった。
赤い柱も組み立てられていて、床下まで海水に浸っている様だ。
(やっぱり…)
以前、前修学旅行で行った事がある。
実物とはかなり違ってるだろうが、宮島がモデルになってるのは間違いなさそうだ。
「た~んじゅん」
軽く笑ってしまう。
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