奇形

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そしてまた次の日、今度は小人を見た。 これもパチンコ屋だが、子供がチョロチョロしてるなあと思ったら顔を見ると中年だった。 男か女かよくわからない独特の顔立ちで、甲高い声で「出ないぞ」みたいなことを言っていた。 足もまがってるせいか、かなり小さい。背の低い俺の胸までもないくらい。 こんどはあまりジロジロ見なかったが、奇形を見るのが立て続いたのでそういうこともあるんだなあと不思議な気持ちになった。 このことを師匠に話すと、喜ぶと思いきや難しい顔をした。 師匠は俺を怖がらせるのが好きなので「祟られてるぞ」とか 無責任なことを言いそうなものだったが。 暫く考えて師匠は両手を変な形に合わせてから口を開いた。 「一度見ると、しばらくはまた他人を注意して見るようになる。  そういうこともあるさ。蓋然性の問題だね。  ただ、さっきの話でひとつおかしいところがある。」
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