歩くさん

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「どういうことですか」 「あいつの寝てるところを見せてやりてえよ。怖いぞ」 どう怖いのか、よくわからなかったがはぐらかされた。 「エドガーケイシーはちょっと専門外だが、やつみたいな後天的ショック  じゃなく、歩くはおそらく先天的な体質だ」 「予知夢見るわけですか?」 「よく分らん。起きてるのかどうかも分らん。ただあたりもするし、外れもする。  お前が金縛り中にみるっていう擬似体験に近いのかもしれん」 僕は金縛り中に「起きたつもりがまたベットの中」という、わりによく聞く現象に しばしばあっていたのだが、それが時に長時間、ひどい時は丸1日生活したあげく 巻き戻るということがあり、自分でも高校時代に金縛りノートを作って研究していた。 師匠がそのノートをやたら気に入り、くれくれうるさいのであげてしまっていた。 今思うと、歩くさんの体質を調べる資料として欲しがったのではないだろうか。 「先輩は歩くさんを一人じめしてるわけですか」 師匠はニヤっと笑って懐からフロッピーを出して振ってみせた。 それはタイミングが良すぎたのでたぶんハッタリだが、師匠がなんらかの 形で歩くさんファイルみたいなものを作っていたのは間違いない。 そんなことよりも僕がぞっとしたのは、歩くさんが卒業する時 「洪水に気をつけろ」みたいなことを僕に言ったことだ。 そのことをすっかり忘れていたが、僕は就職に失敗して今田舎に帰って いるのだが、実家はモロに南海大地震が来たら水没しかねない立地 条件にあるのだ。 次の南海地震の死者は県内で最大3万人と最近の推計が出ている。 勘弁してくれ。マジで怖い。 あと何年で来るんだよー。メソメソ
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