Bye-bye, Mr.Lonely Wolf.

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さてさて、小さな魔法使いは右隣のお家の前。 「よし、行くぞっ」 キャンディーの籠を握り締めて気合いを入れました。 ぴーんぽーん 高い位置にある呼び鈴をなんとか押すと、中から大きな足音が聞こえます。 がちゃ 「とり…」 「遅いーーっ!!!」 がしっ ぎゅう 呪文を唱える前に、細いながらも縦に長い体に勢いよくしがみつかれ、足元がふらつきます。 「ど、どうし…」 「あおちゃん遅いよっ。メールからどんだけたってると思ってるの!?」 ぎゅうぎゅうと締め付けられたまま大人しく文句を聞きます。 1時間前に送ったメールには『いまからいくからうちにいてねっ』と書いていたからです。 「今日なんかみんな出掛けちゃって僕一人だしさ、翔太くん家いたのにメール見て帰って来たんだからね!?なのに1時間もまたされた気持ちがわかる!?」 「ご、ごごごめん…っ」 兄弟の多い彼が、いつもは沢山の声に溢れている大きな家に一人でいるのはどれほど寂しかったことでしょう。 「…なんでこんな遅かったの」 ポツリと小さな声。 「あの、お父さん達も驚かそうと思って…、そしたらプリンが…」 しどろもどろに答えるとはぁと頭にため息を感じました。 「…もー、らしいんだから…。おやつに気を取られて忘れちゃったわけね…」 どんなおばけだよ。という言葉に何も言い返せません。
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