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白いお家の広いリビング。
その真ん中にうずくまって動かない小さな姿。
「…うーっ、とおらない…」
どうやら針に糸を通そうとしているらしく、まるっこい指先はぷるぷると震えています。
ぺたりと座り込んだ膝の上には真っ黒な布が広がり。
「はやく完成させなくちゃ!!」
むんっと気合いを入れて果敢にも再び針と向き合うようです。
「ぅ…、よし!!はいったぁーっ!!」
大きくガッツポーズをとり大袈裟に喜びをあらわしました。
この部屋の主は喜怒哀楽の主張が激しいのです。
「はやく夜になんないかなぁー」
ふんふんと鼻唄を歌いながらも手はちくちくと動き。
黒目がちなまぁるい目は、楽しい事への期待でキラキラと輝いています。
「やっぱりハロウィンていったらおどかしてナンボだよねっ。そんで更にお菓子げっと!!」
ぐっと拳を握るその姿から察するに、一番の目的はお菓子のようです。
ただ、悪戯に対する意気込みも忘れません。
「翔太も太一もちゃんとお菓子用意してるかなぁ?二人とも忘れてそうっ。いいやっ…忘れてたらいっぱいイタズラしちゃうもんねっ」
ぅふふと笑って楽しそうな姿ですが。
しかし、このおばけ予備軍は気付いていなかったのです。
その幼馴染み二人が、リビングの扉の向こうにいる事に。
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