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「…どうする?翔太くん」
ハロウィンを楽しみにしている大きな独り言までばっちり聞いてしまって、背の高い方の幼馴染みは目線を少し下げて聞きました。
「どうするったって…。ハロウィン!?俺来年から中学生だぜ!?」
茶色い髪の幼馴染みは、涼しげな目元を寄せてうなっています。
黒髪のおこちゃまに付き合ってハロウィンをやるかどうかで葛藤しているようです。
「相変わらずあおちゃんはお祭り好きっていうか、イベント好きっていうか…。僕らとの約束とか完全に忘れてるよね」
本当は三人は朝から遊ぶ約束をしていたのですが…、リビングから尚も聞こえる鼻唄。
お裁縫も順調にすすんでいるようです。
「翔太くん、付き合ってあげなきゃあおちゃんすねるよ?」
「…泣く、かな?」
「泣くね。間違いなく泣く。号泣だよ」
きっぱりと断言されては子供っぽいからとハロウィンをムゲにはできません。
二人は小さな幼馴染みの涙に弱いのです。
「…太一」
大きなため息の後に名前を呼びます。
「なぁに?」
「…俺らも準備するぞ」
その言葉に大きな目が丸くなります。
「え?つくるの!?」
「当たり前!!やるからには葵よりは凄いのつくらなきゃな!!」
「!!そうだねっ!逆にこっちが驚かしちゃおうっ」
なんだかんだで楽しそうな二人は足音を立てないようにこっそりと、でも慌ただしく白いお家を出ていきました。
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