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「とりっくおぁとりーとっ」
バタンッ
「まぁー、可愛い魔法使いねぇ」
「イタズラかぁ、そいつは怖いなぁ」
完全な日本語発音で言いながらリビングに入って来た可愛い可愛い一人っ子に、両親は大袈裟に驚いて見せました。
「お菓子はっ!?」
ニコニコ顔の二人に、小さな魔法使いがせがみます。
トトトっと走り寄った拍子に頭の三角の帽子がずれています。
「そうだなぁ、イタズラされたら困るしな?」
その帽子を直してあげながらお父さんが言うと。
「そうねぇ…魔法使いさんのお気に召すかな?」
お母さんが足取り軽く冷蔵庫に向かいます。
甘やかされた本日の主役はそれをキラキラした目で見つめました。
その表情は『なに?なに?』と期待を隠しもしません。
「じゃーんっ」
「おー!!」
お父さんの歓声に迎えられて出てきたのは、透明な袋に入れられたカップ。
「わぁ~!!」
「パンプキンプリンでーすっ」
生クリームのたっぷりとのったオレンジのプリンに、魔法使いのほっぺが真っ赤に上気します。
「イタズラされたら困りますからね、魔法使いさん、どうぞ」
特等席の椅子に座らせてあげて、目の前に取り出したプリンを置いてあげました。
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