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「どう?魔法使いさんは満足した?」
一生懸命プリンを頬張るのに、お父さんが声をかけました。
「うんっ。すっごいおいしいっ」
ぶんぶんと首を縦にふって、にっこりと笑います。
「それはよかった!!ところで魔法使いさん?今日は何か用事があるんじゃなかった?」
「あっ!!」
お母さんに言われてはっとしました。
そうです。
元々この小さな魔法使いは二人の幼馴染みの所に行くつもりだったのです。
お父さんとお母さんにも見せたかっただけなのに。
慌てて時計を見上げると、メールを送ってからもう長い針が一周しています。
「わわわっ!!急いでいかないとっ」
まるでアリスのうさぎのように急いで椅子から飛び下りました。
ゆっくりプリンを食べている場合ではありません。
「あっ、待って」
お母さんに言われて振りかえると、首元に真っ赤なリボンをつけてくれました。
プリンの袋を飾っていたもので、黒い服によくはえます。
「ほら、この方がステキ」
優しく笑うと、やっぱり綺麗にリボンで飾られたキャンディーがいっぱい入った籠を持たせてくれました。
『三人で食べてね』と言って。
「ありがとう!!お父さんお母さん、いってきますっ」
嬉しくてまたまたほっぺを赤くしながら、小さな魔法使いはすっかり暗くなった家の外にとびだしました。
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