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「今後の参考にしたい。
頼む。」
マレイアの言う『そんな顔』とはどんな表情だったのか…。
マレイアはやや勿体振って話し始めた。
「あなたはいつも色々考えてる割に、大変な事が起きてもあまり顔に出さないわよね?
それは多分あなたに余裕が有るからなのよ。
『どんな事が起きても自分だけは生き残る自信が有る』
っていう根っこの部分でね?
だけどさっきの顔は
『自分すら生き残れない可能性がある』事に気付いた時の顔だったわ。
ねぇ?
本当は本部の地下にある物の予想はついてるんでしょ?
あなたは何だと思うの?」
私は迷った。
確かにマレイアの言った通りだ。
私はどこかで
自分だけは死ぬはずがない
と思っていた様である。
先程のマレイアの一言によって、久しぶりに感じた
――滅びの予感――。
その動揺を見抜かれてしまったらしい。
全く、マレイアには敵わない…。
私が迷っているのは、話の内容が内容だけに不必要に恐がらせてしまう可能性がある為、知らない方が心穏やかに生活できるはずだからである。
不安の種など無いに限る。
だがこの場を凌ぐ適切な嘘が思いつかないため、私はやや過小評価気味に話す事にした。
「もちろん私にもわからないが、封印される様な代物である事と、周囲への魔力の発散状況から見て
それが物体ならば何らかの強力な呪術道具であり、
もしも個人ならばほぼ無限に近い魔力の持ち主だな。
その封印を解く為の大掛りな儀式である事を懸念したのだが、もし個人が封印されている場合、私にも勝機はほぼ無い。」
マレイアは私の説明を聞いて数回頷き、しばらく吟味していたが、突如手を叩きこちらを見た。
「そうよ!
セリアに聞けばいいじゃない!
あの子が知らないはず無いわ。
なにしろその上に住んでるんですもの。
…でも面会できるかしら?
あの子結構多忙なのよねぇ…」
なるほど、それは確かに建設的な意見だ。
もしも一連の事件が本当に私の予想する最悪のパターンだったとしても、その儀式の達成には長い期間を要するであろう。
私は次回の定例会で、教皇であるセリアにこの一連の事件を話して意見を聞く提案をした。
マレイアも、事態は急を要さない事については同意見だった様で、私の提案は可決された。
ちなみにミナが会話に入って来ないのは、基礎知識の不足による物の様だ。
本人の名誉の為に言っておく。
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