3573人が本棚に入れています
本棚に追加
マレイアが朝食の準備を終え、
いつもの事ながら私が読んでいる新聞を奪い取り、
読み終える頃にやっとミナが起き出して来た。
外まで薄着のまま顔を洗いに行ってしまったらしく、身を縮こませながら部屋へと入って来た。
ミナが暖を取っている間に、私へ新聞を返したマレイアは、朝食を温め仕上げる。
…確かミナがマレイアの付き人だったはずだが、これでは逆だな。
と、いつも思うのだが、
夕食はミナの仕事だから別に良いらしい。
ちなみに昼食は大概別行動なので、それぞれ適当に摂る様だ。
朝食を終え、やはりミナは午前中も何かしら準備が有るらしく、
慌ただしく身仕度を整え出掛けて行った。
正午位に私を迎えに戻って来るそうだ。
そんなミナを見送り、
私はマレイアに話を切り出した。
内容はあの少年についてである。
もちろん私の深読みし過ぎである事を考慮に入れて欲しいと前置きして話した。
私の話を聞き終り、マレイアの反応はと言うと、
頭が痛そうにしていた…。
気持ちはわかる。
あの少年の身なりからして孤児院の子である可能性は、残念ながら非常に高い。
しかも複数の人間で連携しており、その場合信頼関係で結ばれている間柄でないと連携は難しい。
という事は、信頼の置ける孤児院の仲間達が居るか、最悪の場合悪い大人達と信頼関係を結んでいるという事になる。
どちらにせよ完全に足を洗わせるのは骨が折れそうだ。
私はとりあえず、成り行きに任せつつ説得をしてみるつもりだという私の意見を話し、マレイアの反応を見る。
「ん、…それしか無いわね…。
でも難しいかも知れないわよ?
その子達が盗みをする必要は無くなったわけだから、説得の方は問題無いはず。
問題は背後関係が黙って無い事でしょうね。
盗みを強要し出す、っていうのが一番恐いわね…。
いえ、間違い無くそうなると思うわ。
そうなる前に背後関係を探り当てて捕まえなきゃいけないんだけど…
できそう?」
マレイアが綺麗にまとめてくれた通り、どうやら思った以上の大仕事の様だ…。
まさか善意の募金が
犯罪グループの壊滅に繋がるとは私も驚きの展開である。
だがやはり、マレイアに相談して正解だった。
私はやってみせねばなるまい、と言い大きく頷く。
そして居間の入り口にある柱時計を見ると、まだ正午まで暫く時間がある事に気が付いたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!