3573人が本棚に入れています
本棚に追加
出て来た青年は、
崩れた煉瓦とその横のボール、泣き崩れているミナ、青年の登場にさらに慌てている少年達を見て、
大体の状況を把握した様だ。
そして大きく溜め息をつき、口を開く。
「はぁ…
ミナさん、泣き真似してないで、そこの人を紹介して下さい?
それから男子は崩れた煉瓦を片付ける様に!
割れてる物は捨てて下さい。
くれぐれも怪我しない様に気を付けてやるんですよ?
あとボール遊びはしばらく禁止だと言ったでしょ?
後で男子全員説教ですから、そのつもりで。」
青年の言葉にミナは少し照れながら立ち上がり、ミナを取り囲んでいた少年達は呆気にとられる。
続いて言われる説教宣言に、重い空気が流れた。
事態の収束を見た少女達は各々家の中に入って行き、先程まで青年と綾取りをしていたのであろう幼い少女が、飛び跳ねながら青年に綾取りの続きを要求し始めた。
少年達は互いに文句を言い合いながらも煉瓦を片付け始め、三人組はと見ると、その輪に紛れてしまい解らなくなってしまった。
青年は綾取りの毛糸を少女に返し、家に入る様に言って頭をなでる。
少女は嬉しそうに笑うと走って家に入って行った。
私も自ら青年に近付き挨拶をする。
「私が来たせいかも知れない、
お騒がせして済まないな、
私はマレイアの家に厄介になっている旅の者だ。
君がここの責任者か?」
私がミナの紹介を待たず話しかけると、人好きのする優しい笑顔を返して来た。
そして私の話し方に嫌な顔をせず、丁寧な口調で返事を返して来る。
「はい、お話は伺っております。
今日はわざわざ手伝いに来て頂きありがとうございます。
私はミハイルと言います。
見ての通り牧師なのですが、布教活動もせずここで子供達を世話しています。
ここの責任者は、前の教会の神父様なのですが、お年を召してらっしゃるので私が代理人をやってます。
お名前を伺っても良ろしいですか?」
事前にミナが私の事をある程度話していたのであろう。
少年達を煉瓦の方に追い遣っていたミナがこちらに来る前に、大体の自己紹介が終ってしまった。
「マレイアからはポンちゃんと呼ばれているが…
何と呼んでくれても構わない。」
私の言葉にミハイルはやや困った顔をするが、
「ではポンさんとお呼びしても良いですか?」
と言い右手を差し出す。
私は構わない、と返事し
握手をした。
最初のコメントを投稿しよう!