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犯罪組織『赤い斧』
メーヴェに存在する中でも大きな組織に類される方である。
暗殺、恐喝、盗み、薬物とやっていない悪事は無いと言われる悪質な集団であり、少年の口からその名が出た時は思わず耳を疑ったものだ。
その末端の一員である、カイラスという男をリーダーとする数人の集団に、盗品を買い上げてもらっていたらしい。
ルジャンはまだ少し私を心配していたが、無理はしないと約束すると安心して孤児院に戻って行った。
そして私はマレイアの家に帰るべく歩を進めている最中なのだが、中々夜間外出の言い訳を思いつかない…。
元々私は嘘が苦手なのだ。
だがルジャンと約束した以上ミナに知られるわけにはいかない。
…結局『消費し過ぎた魔力を補填する為本部の近くに行っていた。』という苦しい言い訳で押し通す羽目になった。
次の日。
予想通りの快晴である。
私は今日も読んでいた本を閉じ、朝の作業を淡々とこなしつつミナが起きて来るのを待った。
ミナがいつもの様に眠たそうに眼を細めながらリビングへとやって来て朝食を摂り、準備を整えた時には、
先に行けば良かった、と後悔し始めていた。
まさか待つ事に飽きて本を一冊読み始めたら、読み終わるとは思わなかった。
だが恐らく、作業は今日で終了する。
文句は言わないでやる事にする。
孤児院に着くと、子供達は先に作業を始めていた。
皆良い子達だ。
私は庭の煉瓦を屋根の上へ飛ばし、作業の効率化を図る。
そして昨日と同じ様に子供達の安全確保を最優先して作業を見守った。
やはり十数人で効率的に働くと、作業の終わりも早い。
なんと夕方までに屋根の修理は完成したのだった。
実に二日の突貫工事ではあったが、完成度は中々の物である。
隙間が空かない様に漆喰をしっかり塗り込んである為、もうしばらく雨漏りの心配は無いであろう。
少年達共々遣り遂げた仕事に満足し、最後にミハイルと握手をして孤児院を後にした。
工事終了おめでとうパーティとやらにも招待されたのだが、やはり丁重に断る。
別の片付けなければならない用事がある、と言えば、残念そうだったが引き退がってもらえた。
そして今私は、とある酒場の前に居る。
入り口の扉など無いに等しい程に痛め付けられており、
この時間の傾いた陽の光が入らない為か店内はとても薄暗い。
ここがカイラス達が根城にしている酒場なのだ。
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