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轟音。
そして地下が揺れた。
…少し加減を間違えたらしい。
至近距離の爆発に、扉は左右共にどこかへ飛んで行き、
扉の後ろに居た男達は、向かいの壁まで吹っ飛んで伸びている。
五体満足の様であるし、問題無かろう。
全身打撲は疑う余地は無いが…。
扉の向こうには大きな部屋が有った。
爆風に蹂躙された為、元の姿とは違うのであろうが、
それぞれ用途が違うのであろう各方面への扉が五つ有り、正面に三つ、左右に一つずつ取り付けられている。
その左右の扉から、先程の音に驚いた顔をした構成員の男達が次々と表れて来ていた。
右の扉は食堂であろうか?
口に食べ物を頬張った状態から、ロビーに駆け込んで来る者達が大部分を占めていた。
その人数はすでに二十人を越えており、まだまだ増える様だ。
ここは一掃してしまいたい所だが、先程の爆発は些かやり過ぎた。
現に爆発による粉塵は未だ収まっておらず、木の梁で形造られている天井からはサラサラと土が落ちて来ていた。
地下でこれ以上派手な事をするのは良くない様だ。
動きを鈍くさせる程度の魔術で、牽制しつつ各個撃破という方法に切り替えねばなるまい。
私は、私を中心として扇形に十個の点を部屋の壁に指定し、
私の左手と十個の点の電位差を、絶縁体である空気を貫ける程の電圧にまで上昇させた。
粉塵が収まって来た室内に侵入者である私を認めた構成員達は、各々武器を抜き私に殺到し始める。
私は魔力によって抑えていた電圧を、致死量に達さない様に最小の電流で解放した。
弾ける閃光。
一瞬で部屋中の男達の体を、雷が駆け抜けた。
これで神経伝達が阻害され、体を思い通りに動かす事が出来ないはずである。
だが、部屋中の男達は、
全員そのまま倒れて動かなくなる。
おや…?
どうやら雷という物は、私が思っていた以上に人体に影響を与える様である。
一応生死に関わる程では無い様だが、皆揃って気絶する程度の物ではあるらしい。
ふむ、これは便利かも知れない。
私は予想外の結果に満足しながら、数十人が一掃された事に恐怖し、部屋に入って来れない男達の元に向かった。
まさか首領が食堂で食事しているとは思えないが、一応確認しに行ってみるとしよう。
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