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「おっ。良い所に!
お兄さん魔術士だろ?
助けておくれよ!」
逃げて来た少年はそう言いつつ私を盾にするような位置に逃げ込んだ。十歳前後であろうか、活発そうな顔立ちにあちこち破れた服、まるで長旅を終えたばかりの様な格好だ。
私の背後から覗く悪戯っぽい笑みにちらと視線を遣り、私は追い掛けて来た二人の男へ向けて問い掛ける。
「まずは事情を聞かせてくれ。
それ次第で決めるとしよう」
睨む私の目線に足を止められ、先程叫んでいた男は悔しげに歯噛みする。
それとは対称的に、もう一人の男は荒い息を整えながら一歩前へ出て来た。
こちらの男の方は話が分かりそうな雰囲気である。
「その少年を渡してくれ。彼は規則を破ったんだ」
「そんなのそっちが勝手に決めた規則じゃないか!
俺には関係無いだろ!」
とりあえず私を挟んだまま言い合いをしないでもらいたい物だ。
私は睨み合う二人の視線を溜め息で断ち切り、男に訊ねる。
「……その規則とは何だ? こうして追い回す程の事なのか?」
訊かれた男は目を細め、仄かに殺気を放ちながら返答した。
「俺達はこの街の情報屋ギルドの者だ。その規則によると『この街で情報を売りたい者は情報屋ギルドの許可を得なければならない』のだ。その少年はその規則に触れた。こちらに引き渡してくれ。……命までは取らない」
なるほど。
確かに筋は通っている。
……だが男の発する殺気が妙に気になるな。
「質問が二つある。
一つ目は、この子は外から来た様に見えるのだがそれにも規則は適用されるのか。
そして二つ目は、この子に与える罰の内容を具体的に知りたい」
私の質問に男は不気味な笑みを浮かべた。どうやら苛々し始めているらしい。
「一つ目の質問に関しては肯定だな。外部の人間もまずはその街の情報屋ギルドに挨拶をするのが常識だからだ。そして二つ目の質問の答えは『動かなくなるまで殴る』。これは大人子供の区別無く適用される」
男はこの台詞を一息で言い切ると右手を伸ばして来た。
「納得したか? したならその少年をこちらに……」
「納得出来ないな」
私は男の要求を無下にする。
「『知らなかった』で済む問題であろう? これから気を付けさせれば良い。それは幾ら何でもやり過ぎだ」
私の返事に男二人は怒りの表情を見せた。そしてその手が腰の得物へと伸びる。
……やれやれ。
結局こうなるわけか。

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