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でもねぇ、、つい、、口をついて出てしまったんですよ。
そしたら沖田さん、大層驚いた顔でねぇ。
「本、、当ですか?
本当に、、先生が、、
良順、、先生が?」
ってねぇ。
あたしはねぇ、もぅ頷くだけでしたよ。
そしたらねぇ、
沖田さんの顔が、ふっと和らいでねぇ、、。
「そうか、、、そうですか、、よかった、、本当に、、」
そぅ言いながらね、いきなりガクッ!っと崩れるように、、。
えぇ、、気を失われたんです。
「沖田さん!!」
ってねぇあたしも、とっさに支えようとしたんですけど、やっぱりねぇ、一人で支え切れるもんじゃありませんよ。
なんとかねぇ、頭を打たない様に横にさせるのが精一杯でしたよ。
「沖田さんっ!沖田さん!」
肩を揺すったり、手を握ったりしながら、耳元で何度も何度も呼びかけても、返事どころか、目も開けてくれません。
ただね、苦しそうな荒い息使い。
どうにかしなきゃ。
なんとかしなきゃ。
気ばっかり焦って、、でもねぇ、何をしたらいいのかわからないんです。
後で考えれば、
『あぁすればよかった』
『こうすればよかった』
なんてねぇ。
『後悔先にたたず』って本当ですねぇ。
あの時は、名前を呼ぶ位しか、、出来ませんでしたよぉ。
そうこうしてましたらねぇ、
「どうしたぃ!何があったっ?」
ってねぇ、親方が母屋から駆け付けて来てくれましてねぇ。
えぇ、部屋に入るなり、沖田さんの様子に気付いてくれましてねぇ。
「すぐに先生をお連れするから、それまで沖田さんの事は頼んだぞ?」
親方の言葉にねぇ、もう頷くしかできませんでしたよ。
親方は、すごい勢いでねぇ、部屋を出ていかれましたよ。
住み込みの若い衆の名前を、大声で呼んでいたように思います。
『親方が、先生を連れて来てくれる』
何をしたらいいかなんてわかりませんでしたけどね、、。
それがわかっただけで、なんかこぅ、力が湧いてくる感じがしましたよ。
『先生が来れば、、必ず助けて下さる!』
だから、それまで沖田さんを元気づけなきゃ!
そう思いましたよ。
「沖田さん!沖田さん!先生が!良順先生が来てくれますからね?」
沖田さんの手を握りながら耳元で大声で話し掛けましたよ。
するとねぇ『良順先生』の名前のところで、細ぉく目を開くんです。
これだっ!
て思いましたよぉ。
「良順先生が、、後ちょっとで、、来て下さいます。だから、、頑張って下さい」
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