動き始めた時間

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良順先生から頂いた 『お薬』は本当にスゴイ効き目がありましたよ。 「先生は、私の事を子供だと思っておられるらしい。困ったものだ」 なんてねぇ、、沖田さんは もっともらしい事を言っておられましたけどねぇ。 あの『お薬』を頂いてからは、あんなに嫌がっていた『先の薬』を素直に飲んでくれる様になりましたよぉ。 「私はね、なにも金平糖が欲しくて、飲むと言ってるんじゃありませんからね!?」 なんて言いながら、飲んでくれましたよぉ。 以前は、本当に飲ませるのに苦労させられたんですよぉ。 「苦いから嫌です」 「後で飲みます」 「もう少し後で」 なんてねぇ。 まるで子供みたいで。 「『良薬口に苦し』って言うじゃないですか」 とかねぇ言いながら、なんとか、なだめて煎じ薬の入った湯呑みを持たせても、そこからが長いんです。 まずねぇ、そぉこんな感じで、じーっと湯呑みを見つめるんです。 それから、こぅ両手で抱える様に持って、口許まで上げるんですけど、飲まずに下げてしまう。 それから、こんな感じでチラチラあたしの様子を伺っているんです。 「お忙しいでしょう? 薬は、ちゃんと飲んでおきますから、大丈夫ですから、、」 なんてねぇ、本当に。 「大丈夫ですよ。沖田さんが飲んでくださればいいんですから」 って言いますとねぇ、沖田さんは、なんとも恨めしそうな、情けなさそうな顔をするんです。 それから、いかにも嫌々な感じで、薬を飲み始めるんです。 何回にも分けて、口に含む度に、顔をしかめるんです。 少し飲んでは一休み、、その繰り返しです。 そんな感じですから、湯呑みに半分位の薬を飲み終わるまで、随分と時間が掛かりましたよぉ。 そして飲み終わると、水で何度も口をすすいでました。 そんな飲み方をしていた人が、全然変わってしまいまうんです。 まずねぇ、こう大きく深呼吸して、湯呑みを右手でしっかり持つと、そのまま口許まで持っていって、ぐっと一気に飲み干すんです。 あまりの変わり様にびっくりしましたよぉ。 そしてねぇ、飲み干すと口を大きく開けて、舌を何度もねぇ、指さして、『金平糖』をねぇ、おねだりするんです。 金平糖をねぇ、舌の上に乗せてあげると、 「あぁ生き返った!」 なんて大袈裟に言いながら、ニッコリ笑うんですよぉ。 その顔がねぇ、本当に邪気が無くって、子供みたいでしたよぉ。
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