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そぅそぅ、苦労したといえば、お食事ですねぇ。
沖田さんは、本当に食が細くて、、。
いつも、二口、三口食べたら、もぅおしまい。
やはり、食べないと力が付かないじやぁないですか。
ですからねぇ、ちょっとでも食べて貰える様に、色々試してみたもんですよぉ。
まずは、湯漬け、お茶漬け、粥、雑炊。
それが駄目なら、蕎麦、うどん。
その都度変えて試して見ても、やっぱりねぇ、食べる量は、たいして変わらないんです。
食べたい物とか、好物を尋ねて見ても、
「うーん、、そうですねぇ、、、」
なんてねぇ首を傾げて、それでおしまい。
ならばと、おかずも試してみましたよ。
タクアン、お新香、佃煮
色々試してみたんですけどねぇ、、。
どれもこれも今一つでしたねぇ。
一口、二口食べると、箸が止まってしまって、、
あたしがねぇ、そばにいると、ちょっと困ったような顔をして、あと一口、二口位は食べてくれましたけど、、そこまででしたねぇ。
あぁ、でも卵焼きは、少ぉし余計に食べてくれましたっけ。
あぁ卵焼きって言ってもね、お店で出すような、立派なやつじぁありませんよぉ。
近在の者がねぇ、何日に一度か売りにくる卵。
それをねぇ、一度に三つとか使ってねぇ、あたしが焼くんです。
砂糖とか、味醂を加えて甘味を強くして焼くんですよぉ。
まぁ、素人料理ですからねぇ、売り物みたいに、きれいに、かっこよくなんてぇのは出来ませんでしたけど、味の方は、なかなかだったと思いますよぉ。
焼き上がった卵は、熱いうちに包丁を入れて、二つか、三つに切り分けてから出すんですが、、。
えぇ、本当はねぇ、お侍さん相手に『三切れ』なんてねぇ、、
『三切れ』は『身切れ』で縁起が悪いって、嫌がる人も多いって事はねぇ知ってはいますよぉ。
でもまぁ、なにより食べやすい方がいいと思いましてねぇ。
三切れの時も、知らん顔で出してましたよぉ。
沖田さんも、特に何も言いませんでしたし、、。
もっともねぇ、心の中じゃ、
『何も知らねぇバァさんだな』
なんてねぇ、苦笑いしてたかも知れませんねぇ。
あぁ、話しが逸れちまいましたねぇ。
結局ですねぇ、色々試してみて、一番は食べてくれた物、、。
なんだったと思います?
それは『おにぎり』でしたよ。
えぇ、おにぎりって言ってもねぇ、お饅頭位の大きさの、小さいやつですよ。
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