動き始めた時間 その二

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『若い衆』はねぇ、変に遠慮してしまいますし、 『お医者様』は、まぁ良順先生ならともかく、普段来られる先生はねぇ、、真面目と言うか、なんと言うか、、。 必要な事以外は、あまり喋られなくてねぇ。 用が済むと、さっさと帰られてしまいますから、、相手なんて、とてもとても。 そうなると、やっぱり親方しかねぇ、いないんですよ。 沖田さんも、口にこそ出しませんでしたけど、ほとんど毎日同じ人とだけ話すのは、飽きがでると思いますよ。 面白い話なんて、毎日そうそうあるもんじゃあ、ありませんし、、。 ですから、親方がいる時に、親方としか出来ない事をしておきたい。 そんな気持ちがあったんだとぉ思います。 親方も、そんな沖田さんの気持ちがわかっていたから、いつも、出来る限りの事をしてくれていましたよ。 沖田さんも、たまぁにねぇ、頑固な所を見せたりはありましたけど、他は無理難題や、我が儘なんて言った事はなかったですねぇ。 あぁそうでした、そうでした! その日は、沖田さんが勝ちましたよ。 「やぁ親方!私が実力を出せばこんなもんですよ!!」 なんてねぇ。 本当に、無邪気な得意顔でねぇ。 親方の方は、 「やぁやぁこれは一本取られましたなぁ! いやぁ油断大敵とはこの事ですなぁ」 なんてねぇ、頭の辺りを指で掻きながら、笑ってましたけどねぇ。 多分、親方が上手い具合に指してくれたんだど思いますよぉ。 その頃にはねぇ、沖田も大分熱も下がっていた様で、いつもの調子に戻ってましたねぇ。 えぇ、セキも大分収まってましたよ。 「沖田さん、先生をお呼びした方が、、」 親方もねぇ、やぁっぱり心配だったんでしょうねぇ。 そんな風に話かけたんですが、 「大丈夫ですよ。大分気分も良くなってきましたし、、それに、明日来る事になってますから、いいですよ」 ってねぇ。 取り合ってくれませんでしたよ。 まぁ、確かにねぇ、そういう予定でしたから、 それを言われると、親方も、それ以上は言えませんでしたよぉ。 やっぱり、気持ちってのは、大切なんですねぇ。 その日の夕食は、いつもより食も進んで、、と言っても少しでしたが、余計に食べてくれましたよぉ。 その夜も、少し肌寒かったんで、少しでも温まって貰おうって思いましてねぇ。 葛湯を作ってみたら、珍しく食べてくれましたよぉ。
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