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少しでも、わかりやすい様にと思いましてね、耳元で大きな声で、、。
ゆっくり。えぇ、、。
ゆっくりと、、そして区切る様に話し掛けましたよ。
そうするとねぇ、、
こぅ、こんな感じで、、
本当にちょっとですけれど、頷いてくれました。
何度も、何度もいろんな事を話し掛けても、全然駄目だったのに、先生の名前を出したら、これですから、、。
やっぱり良順先生は凄いなぁって、、。
えぇ、本当にそう思いましたよ。
まぁ、とにかくねぇ、声を掛けたり、手を握ったり、さすったり、、。
それぐらいしか、、出来る事が思い付きませんでしたから、、とにかく、とにかく一生懸命やりましたよぉ。
でもねぇ、やっぱり時間が経って来ると、不安な気持ちが出て来るもんなんですよぉ。
親方が、迎えに行かれてるのは、わかってるんですよ。
ですけどねぇ、隣の家からって訳じゃありませんから、やっぱりねぇ、、
時間がかかってしまうんですよぉ。
その間にもねぇ、沖田さんの様子は、、どんどん変わっていきますからねぇ。
荒い息遣いでねぇ、苦しそうにしていれば、当然心配ですよぉ。
ですけどねぇ、時々、ふぅっと、、息遣いが弱くなるんです。
えぇ、、落ち着いたとかじゃぁなくて、、。
目の前で、どんどん弱くなっていくんです。
本当にね、このまま止まってしまうんじゃないかって位にねぇ。
もぉ、その度にねぇ、、
「沖田さん!沖田さん」
「良順先生が、、来てくださいますから」
ってねぇ、、。
声を掛けながら、手をさすったり、肩をゆすってみたり、、。
そうするとねぇ、、
「ん、、んっ」
って、うめく様な、、咳込む様な声を出してね、
なんとか、もちなおす。
そんな感じでした。
もぉその都度ねぇ、
『先生!先生!どうか早く来て下さい!』
心の中で、何度も何度も思いましたよぉ。
そのうちにねぇ、
『どうして来て下さらないだろう?』
『もしかして、来て下さらないのかしら?』
なんてねぇ、、どんどん考えが悪い方に行ってしまうんですよぉ。
『そんな事は無い。そんな事は無いんだ』
何度も自分に言い聞かせました。
でもね、、本当に不安で怖くて、、仕方がありませんでしたよぉ。
実際に、この時間がどの位だったのかはわかりません。
ただねぇ、今思い出しても、、胸が苦しくなる位に辛かったですよ。
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