急変

5/5
前へ
/31ページ
次へ
少しでも、わかりやすい様にと思いましてね、耳元で大きな声で、、。 ゆっくり。えぇ、、。 ゆっくりと、、そして区切る様に話し掛けましたよ。 そうするとねぇ、、 こぅ、こんな感じで、、 本当にちょっとですけれど、頷いてくれました。 何度も、何度もいろんな事を話し掛けても、全然駄目だったのに、先生の名前を出したら、これですから、、。 やっぱり良順先生は凄いなぁって、、。 えぇ、本当にそう思いましたよ。 まぁ、とにかくねぇ、声を掛けたり、手を握ったり、さすったり、、。 それぐらいしか、、出来る事が思い付きませんでしたから、、とにかく、とにかく一生懸命やりましたよぉ。 でもねぇ、やっぱり時間が経って来ると、不安な気持ちが出て来るもんなんですよぉ。 親方が、迎えに行かれてるのは、わかってるんですよ。 ですけどねぇ、隣の家からって訳じゃありませんから、やっぱりねぇ、、 時間がかかってしまうんですよぉ。 その間にもねぇ、沖田さんの様子は、、どんどん変わっていきますからねぇ。 荒い息遣いでねぇ、苦しそうにしていれば、当然心配ですよぉ。 ですけどねぇ、時々、ふぅっと、、息遣いが弱くなるんです。 えぇ、、落ち着いたとかじゃぁなくて、、。 目の前で、どんどん弱くなっていくんです。 本当にね、このまま止まってしまうんじゃないかって位にねぇ。 もぉ、その度にねぇ、、 「沖田さん!沖田さん」 「良順先生が、、来てくださいますから」 ってねぇ、、。 声を掛けながら、手をさすったり、肩をゆすってみたり、、。 そうするとねぇ、、 「ん、、んっ」 って、うめく様な、、咳込む様な声を出してね、 なんとか、もちなおす。 そんな感じでした。 もぉその都度ねぇ、 『先生!先生!どうか早く来て下さい!』 心の中で、何度も何度も思いましたよぉ。 そのうちにねぇ、 『どうして来て下さらないだろう?』 『もしかして、来て下さらないのかしら?』 なんてねぇ、、どんどん考えが悪い方に行ってしまうんですよぉ。 『そんな事は無い。そんな事は無いんだ』 何度も自分に言い聞かせました。 でもね、、本当に不安で怖くて、、仕方がありませんでしたよぉ。 実際に、この時間がどの位だったのかはわかりません。 ただねぇ、今思い出しても、、胸が苦しくなる位に辛かったですよ。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

211人が本棚に入れています
本棚に追加