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お恥ずかしい話ですけど、その後『いつ』『どうやって』部屋を出たのか、まったく覚えていませんよ。
ハッと気がついたら、部屋の外で座り込んでいましたよ。
「沖田ぁ!この野郎っ!!しっかりしやがれっ!!」
なんて良順先生の怒鳴り声と、慌ただしく動き廻っている気配が、部屋の外にもはっきり伝わってきました。
先生が来てくださったから大丈夫!
そう思ってもねぇ、やっぱりねぇ。
不安な気持ちが、全部消えてしまう訳じゃあ無いですよ。
人ってのは、どうしようもなくなると、つい手を合わせてしまうもんなんですねぇ。
あたしも懐からお数珠を出して、そりゃもう夢中で手を合わせましたよ。
まぁいい歳をして、あれなんですけど、あたしは神様とか仏様は、あんまり熱心に信じてはいませんでしたから、、。
さすがに、お数珠は持ってますけど、お念仏なんかは、もう全然デタラメで、、。
ただもう、
神様、仏様!あぁ、、どんな神様でもいいから、とにかく沖田さんを助けて下さい!!
ってねぇ。
まぁ、神様から見たら罰当たりなお願いの仕方なんでしょうけどねぇ。
ただね、それまでの人生で、一番、、真剣に神様に手を合わせましたよ。
お祈りしましたよ。
えぇ。
なんせ、あの時には、、
それしかできませんでしたもの。
だから、、一心不乱に、、ただただひたすらにねぇ祈り続けましたよ。
どのくらいそうしていたのか、、わかりません。
とても長かったような、、。
とても短かったような、、。
今思い出そとしても、はっきりしませんねぇ。
そうこうしてるうちに、なんだか呼ばれた気がしましてね。
目を開けてみました。
するってぇと、いつの間にか襖が開けられていて、目の前に人の足があるんですよ。
恐る恐る顔を上げると、良順先生でしたよ。
さすがに幾分、疲れが目立つお顔でしたが、あたしと目が合うと、ニッコリと笑われましてね。
「なんだ、婆さん。こんなところで待ってたのかい?」
ってね。
ええ、、とっても優しい笑顔でしたよ。
あたしときたら、沖田さんの事を聞きたいのに、、もう全然言葉が出てこないんですよ。
気がせいていていたんでしょうかねぇ。
もぅ、あーとか、うーとか、、ちゃんとした言葉が出てこないんです。
情けない話ですよぉ、、本当に。
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