0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
激しい衝撃が腹部を襲う。それは痛みとして変換され、私の脳を刺激
し、痛いと感じさせる。次に頬に拳があたる。母の拳は、その清らかな
見た目とは裏腹に、邪悪な力強さを感じさせる。母の虐待が始まったの
は高校にはいってからだった。理由など存在しないのであろう。もう、
二年になる。殴られ蹴られ、必死にこらえる。私の抵抗はこらえること
しか許されなかった。いや、できなかった。虐待を受けつつも母という
存在は私の中では逆らうことのできない、神のような、ルシファーの威
厳をもってして心の中で仁王立ちして頑として動こうとしない。私は母
に殴られることで、堕天使ルシファーより「痛み」の味を授かった。
学校では怪我は喧嘩で通していた。虐めなどまっぴらごめんだ。その
嘘を真実として通すために、私は日々トレーニングという肥料を自分に
与え続け、自分を筋肉で肥やしていくほかなかった。逆に言えばそれし
かやることがない、といえるだろうか。いつしか自分はクラスの中でも
中核的存在になってきた。私は「統率」の「快楽」の味を覚えた。
最初のコメントを投稿しよう!