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私はいま牢獄にいる。人を24人ほど、天へ召したのだ。ただ私は
「快楽」を得たかっただけだ。牢獄の壁は冷たく、私に絶望という言葉
がぴったりだ。裁判所での判決の言葉が頭によみがえる。死刑という二
文字だ。別になんとも思わなかった。死というものは快楽なのか、悲し
みなのか、はたまた絶望なのか、興味があったから。自分は今まで堕天
使ルシファーのもと、人々に死を与えてきた。今度は死を与えてもらえ
るのだ。いままで与えてきたものがどんなものであったか味わうことが
できる。
金属音が響き、監守があごで指図する。私はすっと立ち上がり、何者を
も恐れぬ歩みを踏み出すとともに、期待で笑みがもれた。どんなもの
か……楽しみじゃぁないか。
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