始まりの日

7/7
前へ
/168ページ
次へ
由華のお陰で遅刻を免れた2人は教室へ向かい、それぞれの席に着く。 席に着くなり翔太は、窓から空を見ていた。青く澄んだ大空に、鳥が飛んでいた。 人にも羽が生えるとしたら、何千……何万年頃先になるのだろうか。 空を飛べたら、人はもう地面に足を付くことは無くなるのだろうか。 そんなくだらない事を考えながら授業が終了する。     帰る準備をしていると 「今日友達と買い物行くから先帰っちゃっていいよ」 『はいよ』 と、軽く由華と言葉を交わして2人は別れた。 帰りに修司と合流した翔太は、また朝の話を持ちかけた。 『もしさぁ……羽が生えるとしたら何年後くらいになるかな?』 「お前……まだそんな事言ってんのかよ」 『バカ。見てみ、この大空。自由に飛べたら、どんだけ気持ちいい事か』 「だったらよ、スカイダイビングでもやってみりゃいいじゃん」 『アホ。落ちるのと飛ぶのとは絶対違うから』 「ん~、じゃあ飛行機にでも乗ってみては?」 『カス。乗るのと飛ぶのも全然違うから』 修司の言うことを、翔太はことごとく否定していく。 「お前はよぉ……あー言えばこう言う。お前の女に似てきたんじゃね?」 「……アイツの話すんじゃねーよ」 翔太が修司を睨む。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加