仲間

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 ミンクに話を聞くと、知らない内に力を発揮する場合もあるらしい。さっき子猫を抱いた時、俺が温まって元気になってほしいと強く願ったから勝手に力が出た。 「属性が体温に影響してるなんて知らなかった」 「まぁ、大抵の奴は気づかねーな」  ミンクは自分で調べて相手を探してるみたいだ。  あれ?そういえば… 「ミンクはどうして名前があるの…?」  当たり前のようにミンクと呼んだけど、よく考えればスプリアウスには名前がない。 「ミンクは名前じゃない。誰かが勝手に呼び出しただけだ」 「そっか…」  でも、スプリアウスに名前がないことは偽造物隠滅軍が俺達を見つけるための絶対的特徴とも言えるのに、何で生まれた時に捕まえないんだろう。 「なぁ…」  俺は今思ったことをミンクに話した。 「あぁ、それは…生まれてからすぐに分かる訳じゃないんだ」 「そうなの?」 「お前…自分のこと何にも知らねーんだな」 「う、うるさいな。そんなことより話聞かせろよ」  呪いは生まれた時から持っていても、それはすぐには分からないらしい。俺は偽造物隠滅軍が開設される前に生まれて、その時の病院の先生がスプリアウスだったから俺がスプリアウスだってすぐに分かった。触れただけで普通とは違うって分かる人もいるみたいだ。 そして偽造物隠滅軍が今病院まで進出してスプリアウスの先生を生かす代わりにスプリアウスの赤ん坊を捜しているところもある。 「出産データとか見られないのかな」 「それは大丈夫だろ。この国の病院はいい加減だから五年に一回は出産データまとめて捨ててるらしーぜ。国籍データにはスプリアウスとは書かれないし」  本当にいい加減だ。でも、スプリアウスだと知ってるのは先生と家族くらいだからそれで安心できた。
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