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「じゃあ…ミンクにも番号あるんだ?」
「…ケイだ」
K…か。
軍ができる前までは、スプリアウスが生まれると番号をつけていた。スプリアウスをどうにかして治してやりたいと言う人間達がいて、そのために番号がつけられた。
「なぁ、俺達は一応番号が名前になってるけど、何でそれで軍はそれで捜さないんだ?」
「国籍データはデータの本人も見れない国の扱い物だけど、そこには生まれた時親がつけた名前が書いてある」
「え…親が?」
「あぁ」
「でも…俺は一度も名前で呼ばれたことないけど…」
「呪いのせいだよ」
ミンクは手をぎゅっと堅く握った。
「スプリアウスには存在価値はない。だから一生残る国籍データに書かれる名前は呪いでみんな忘れちまうんだ…」
そんな…せっかく親がくれた名前なのに…
「じゃあ俺達みたいに番号を貰える時に生まれてない人はどうなるの?」
スプリアウスなのに、知らないことが沢山あった。呪いはとても上手に作られていて、番号を貰える時に生まれてない人は物心ついてからもしばらくは親がつけてくれた名前で呼ばれる。だけど成長して能力の存在に気づき、使えるようになると突然みんな名前を忘れる。もちろん自分も…
そうして自分はスプリアウスだと自覚すると、自分で名前を考えるらしい。偽りの名前を…俺達は何をしても偽造でしかないんだ。
「ミンクの場合は、番号があってもみんなが名前つけてくれたんだ」
「まぁ…迷惑だけどな」
言ってる事とやってる事が違う。ミンクは頬を少しだけ赤く染めていた。
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