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今日のエイドは機嫌が悪く、扱いがいつもよりすごく荒かった。俺はあまりの痛さにソファから起き上がれなくて、しばらく制服で下を隠して横になっていた。エイドは俺をほったらかしにして生徒会の仕事をしている。
腰痛……
時刻はもう6時を回っていた。
…やべ、今日は母さんも父さんも帰りが遅い。メリィが家に一人だ。
俺は急いで帰ろうと思い起き上がろうとしたが、腰が痛くて全く動けない。
「……っ…」
「どうした?エフ」
「妹が家に一人なので今日は帰ります…」
俺は痛みを堪えて制服を着ようと頑張る。手に力が入らずかなり時間がかかりそうだ。
「妹は確か…10歳か?留守番できない歳ではないだろう」
「帰ります」
俺は強く言い返した。エイドはあっそと冷たく言いはらい、また仕事を進めた。
誰のせいでこんなことになってると思ってんだよ…バ会長。
俺がやっとパンツを履きワイシャツを羽織った時、生徒会室にノックの音が響いた。
「エイド!いるんだろ、開けろよ」
この声…
「ミンクか。今開ける」
やっぱり…って俺がこんな格好なのに開けるのかよ!
「会長ちょっと待っ…」
ガチャ
…バカ!アホ!ひとでなし!!
生徒会室に入って来てすぐ俺を見つけたミンクは、驚いた顔をして足を止めた。俺はミンクに背を向け視線を逸らす。
「どうした?ドアの前にいられると邪魔だ」
エイドはミンクが驚いているのを嬉しそうに見ている。
「あー…別な時に来りゃ良かったわ」
「いつ来たって同じさ。エフは俺のモノなのだから」
エイドは誇らしげに言った。全然誇れることじゃないし、本人の意志は無視されているのに。
ドアが開いて温まってた部屋に冷気が入って来て、俺は身震いした。
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