手段

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 エイドはドアを閉めまた椅子に座り仕事を始める。俺とミンクの間には沈黙が流れる。 「風邪引くぞ。早く服着ろよ…」  痺れを切らしたのか、ミンクが俺の前に来て言った。相変わらず俺の手はワイシャツのボタン一つで止まっていた。と言ってもエイドが破いたから三つくらいしかボタンはついていないけど。 「だって…」  エイドに手荒にされたから腰が痛くて手に力が入らないんだ…なんて言えるわけがない。  こんなとこ、誰にも見られたくなかった。  そう思うと恥ずかしさと惨めさが一気に頭の中を流れて、涙が零れそうになり俺は俯いた。 「…おい、大丈夫かよ」 「ミンク、お願い…妹が家に一人なんだ。だから俺を連れて帰って…」 「………分かった」  ミンクはしばらくエイドと睨み合って、俺に視線を戻し頷いた。そして手に力が入らない事を察したのか、ミンクが残りの制服を着せてくれた。 「んじゃ帰るわ、エイド」 「お前、エフに手を出したらどうなるか分かっているな?」  エイドが俺とミンクの前まで来て言った。 「言われなくたって出さないよ。俺はお前と違ってこんなちんちくりん好きじゃないから」 「今後そう言った言葉を使ってみろ。お前この世にいないからな」  あれ…この二人仲良かったんじゃないのか?かなり険悪なムードだけど… 「わっ」  気まずいムードに挟まれていると、ミンクが俺をお姫様だっこで持ち上げた。 「おい!せめておんぶにしろよっ」 「こっちのが楽だ。落ちるから首に手回せ」 「~~~…!」  俺は止むを得なくミンクの首に手を回した。  恥ずかしい。男なのにお姫様だっこされるなんて…最悪だ。 「じゃあな、エイド」  ミンクは軽くエイドを睨んで、生徒会室を出た。エイドはすごい恐い顔をして黙って俺とエイドを見送った。  あーあ…明日エイドに会ったら最悪なことになりそうだ…てか、場所聞き忘れたし!…はぁ。
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