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帰り途中、どちらも話そうとしなかった。ミンクは何か真面目に考えてるみたいだったけど、俺は恥ずかしくて。
「家…そこ」
「分かった」
ミンクが玄関の前で俺を下ろす。
「有難う」
「…お前さぁ」
「なに?」
ミンクが鋭い目で俺を見る。
「……何でもねぇわ」
「何だよ、気になるじゃん」
俺がミンクの顔を覗き込むと、ミンクはばっと顔を逸らした。
何だよまじで、嫌な態度だな。まぁ送ってもらえたからどうでもいいけど。
「じゃ」
俺は軽く手を挙げミンクに手を振り、ゆっくり玄関まで行った。
「明日は休めよ、エフ」
ミンクが叫んだ。俺は振り返って軽く微笑む。
「休まないよ」
ミンクは一瞬だけ顔を赤くした。俺はそのまま家に入った。
「おかえりなさい!遅かったのね、お兄ちゃん」
「ただいま。ごめんなメリィ、今ご飯作るから」
「うん、あたし手伝うよ!」
メリィは俺の手を握り笑顔で言った。
メリィは俺の唯一の兄妹だ。素直で可愛くて、俺は今までメリィに支えられてなんとかきたみたいなものだった。だから絶対一人にしたくないんだ。
ミンクのお蔭で腰の痛みも少し引けたから、メリィに手伝ってもらい俺は手早く晩御飯を作った。
「できた」
「やったー!美味しそう」
「食べようか」
「うん!」
二人でテーブルに並んで座り、ご飯を食べる。
「美味しい!」
メリィが俺を見て満面笑顔で言った。
「良かった」
俺も笑顔で返す。
この一時が一番落ち着く。学校であった嫌なこと全て忘れるくらいだ。
エイドから場所を聞いたら、ミンクを誘おう…
そんなことを考え、一日が過ぎていった。
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