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人間ってどんなに素晴らしい生き物なんだろう。きっとこんな痛みはない。神社に行ってこんなお願い事しないだろう。"人間になりたい"なんて…
生まれた時から決まっていた。まるで人間のように泣き、醜い正体を隠している。最初から、呪われてたんだ…───
今日も息苦しさで目が覚める。今は朝の4時だ。
「またあの夢か…」
何かが迫ってくる、逃げても逃げても逃げられない恐怖。最後にたどり着く場所は崖…
俺はベッドから降り、洗面所に行った。この時間はまだ誰も起きてこない。
「そういえば、今日は会議があったな」
俺は早めに学校に行く準備をして、家族の朝ご飯を作った。自分は先に食べて、あとはラップをかけてテーブルの上に置く。
ダイニングルームのソファで寛いでいると、いつの間にか眠ってしまった。
「…ちゃん…お兄ちゃん」
「ん…メリィ、おはよう」
「もう7時半過ぎたけど、遅刻しない?」
「え!?7時半!?」
俺は慌てて腕時計を確認する。
7時42分…やばい!
「行ってきます!!」
「気をつけてねー」
玄関で母さんが叫ぶのが聞こえた。
こういう時に限ってうっかり寝ちゃうなんて…エイドになんて言われるか…!
「くそ…走っても間に合わない…っ」
アテリスの中心部マホロ。その外れに俺の家はある。俺の住んでいる地区は何もなく、学校も隣の地区まで行かなくちゃいけない。
「しょうがない…」
俺は通過中の商店街にある路地裏に入った。そして右手を地に向けて開き、
「窮(くう)」
呪文を唱えた。
手をかざした部分にホウキが一瞬で現れる。俺はそれに飛び乗った。
これで間に合う…
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