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空にはなに一つ障害はない。俺は無事遅刻せずに学校に着いた。それでもギリギリだったから、走って生徒会室に行く。
「おはようございます…!」
「遅いぞ、エフ」
「すみません、資料は揃ってますので…」
「行くぞ」
「はい」
俺は予め机の上に用意しておいた書類を持ち、生徒会長の後に続いた。
「では…会議を始める」
問題もなく会議は進み、一時間後に終わった。
「ふぅ…疲れた」
「お前が疲れることは何もないだろう、エフ。俺に資料を渡すだけなのだから」
小声で言ったけど聞こえたらしく、エイドが答えた。
「そうですけど…」
遅刻しそうになったから、神経使ったんだっての…
俺は生徒会長エイドの秘書。ここ、ドレイル学園は中心部で一番頭の良い学校で、俺は今年入学したばかりの一年だ。
「お前…魔法使ったな」
エイドはにやりと怪しげに微笑み、俺に体を向けた。
「つ、使ってないですよっ」
「嘘つくな。今日遅刻しそうだったのに、少しも汗かいてなかったろ」
エイドが俺に詰め寄る。
「汗拭いてきたかもしんないじゃないですか…!」
「面白い嘘だな。分かりきっているが」
「…んっ──!」
抵抗できず、エイドのキスを受ける。
どうして一年の俺が生徒会長の秘書なんてレベルの高い仕事をしてるかというと、エイドが俺を気に入ってる…からだ。
秘書は生徒会長がスムーズに動けるためにいる責任重大な仕事だ。だから生徒会長が自分で秘書にしたい人を選べるんだけど…俺は入学式の時から目を付けられたらしく、今こうしてエイドの秘書をしている。秘書という肩書きと一緒に、エイドの束縛も…
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