探し物

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 人間にはない能力が、俺達スプリアウスにはある。魔法と呼ばれる不思議な能力…そしてそれには、属性もある。俺の場合は、火。人間にならなければ、この忌まわしい能力はなくならない。  なんで神は天罰としてこの能力を下したのか俺には分からない。ただ、スプリアウスがこの能力を利用して争いや物騒な事件が年々増えてきている。 「エフ…脱げ」 「──…嫌です!できません!俺は秘書なだけであなたの玩具じゃない…っ」  だけど、俺達スプリアウスは人間になれる方法が一つだけある。 それは、本当の"名前"を手に入れること。スプリアウスには本当の名前がない。俺達は本当の名前を手にした瞬間、人間になることができる。そしてその本当の名前は、同じスプリアウスの内の誰か一人が持っている。俺も誰かの名前を持ってる。だけど持っている名前も知らない。二人が出会い一瞬でも触れ合うと、淡く白い光と共に、名前が見えてくるって聞いた。  でも、一昨年から国が新しい軍を作った。「偽造物隠滅軍」を… スプリアウスだと口に出してはいけないし、バレてもいけない。バレたら軍に捕獲され、排除される…。国はスプリアウスが全員いなくなれば、呪いはなくなるって思ってるんだ。 そのせいで罪のないスプリアウスが今日までに沢山殺されてきた。  だから俺は一刻も早く本当の名が知りたいんだ。人間になれば、こんな呪いなくなる。普通の人間として、平和な毎日を過ごすんだ…誰にも捕らわれない自由な日々を… 「いいのか?反抗して…」 「……っ」  エイドは俺がスプリアウスだということを知っている。正しく言えばバレた。 「…っ───」 「いい子だ、エフ…」 「………ん…っ」  バラされたくなかったら言うことを聞け…そうエイドに脅され、俺はエイドの玩具にされている。  人間になれれば、全てが手に入る。こんな汚い奴からも解放されるんだ…。だから早く、早く名前を…
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