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学校ではエイドに縛られる毎日で、クラスの人とまともに話した事はなかった。
今日は珍しくエイドから昼に来るように言われず、俺は教室で弁当を広げていた。
せっかく教室で食べれるのに…話せる人がいないな。
小さく溜め息を吐き、俺は力無く箸を持った。食欲が湧かない。元々昼はエイドに呼ばれされるがままだから、昼飯はいつも食べていない。毎日一所懸命弁当を作ってくれる母さんには悪いが、昼飯はいつも鳥のご飯だ。
駄目だ…残そう。
一口、二口で食べるのを止め、俺は弁当を仕舞おうとした。すると俺の机の横に誰かが来た。俺は顔を上げて誰かを確認する。
「よぅ」
「……誰?」
長身で赤髪。制服はかなり着崩していて、耳には大量のピアス…多分クラスの奴だけど、初めて見る顔だ。
「…ミンクだ」
「うそ…何でミンクが来てるの?」
周りがミンクと次々に発し、赤髪の男を見る。どうやら名前はミンクと言うらしい。あまり人気ではないみたいだ。
「お前俺の名前を知らないなんていい度胸してんな。こっち来い」
ミンクは俺の腕を掴んで無理矢理引っ張った。
「離せよっ」
「嫌だね。お前にそんなこと言う権利はない」
何だこいつ…かなり自己中だ。まぁ、何かした覚えはないしじっとしてればすぐに帰してくれるよな…
俺は抵抗するのを止め、大人しくミンクに着いて行った。行き着いた先は屋上だ。ミンクはポケットから鍵を取り出し、屋上に出た。
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