仲間

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「ここへは俺以外入れないんだぜ」 「へぇ…」  どうでも良かったけど、俺は少しだけ興味あり気な素振りをしてみせた。 「おい、こっち来いよ」  ミンクは低い声で俺を手招きした。俺は何も言わず側に寄る。 「見ろ」  屋上の陰にダンボールが一つ置いてあり、ミンクはそれを指差した。俺は中を覗いて見る。 「子猫だ」  ダンボールの中には子猫が一匹横たわっていた。少し具合が悪いみたいだ。 「寒がってんだよ、そいつ。このままだと凍え死んじまう」 「そんな…」 「お前抱っこしてやれよ」  何故俺にそんなことを言うのか分からなかったが、俺は子猫をそっと抱き上げた。小刻みに震えていた子猫の体が、一瞬で止む。  誰かに抱えて欲しかったのか…  俺は子猫を優しく撫でてやる。すると目をうっすら開けて俺を見て、にゃあと鳴いた。 「…元気出せ」  俺は子猫に呼び掛け、しばらくそのまま抱えていた。  数分経つと子猫はすっかり温まって元気になっていた。 「やっぱりな」  ミンクが俺の隣に腰を下ろした。 「……?」  ミンクの存在をすっかり忘れていた。俺は首を傾げミンクを見る。 「お前、生徒会長の玩具なんだってな」 「──…お前何なんだよ」  俺は顔をしかめた。 「俺とエイドは同じクラスでよく話すんだ。それでエイドがお前のことを話してたんだよ」  ミンクが得意気に言った。  こいつ…三年だったのか。 「今まで誰にも手を出さなかったエイドがかなり気に入ってるみたいだからな、どんな奴か見てやろうと思ったんだが、期待外れだな」 「お前に期待されても嬉しくないよ」  俺はミンクを睨みつけた。  わざわざそんなくだらないことを言うために俺を呼んだのか。せっかくの昼が台無しだ、もう帰ろう。
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