出会い

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あれは、俺が所属するバンドのライブが10回目という事もあり記念にちょっとだけ派手にした日だった。 俺が歌ってるちょうど斜めくらいのライトの下で涙を流してる子を見つけた。 何故か俺は、その子から目が離せなかった。 ライブが終わって俺はその子を捜した。 見つけた! その子は俊という俺の友達に蹴りを入れてた。 俺は思わず笑ってしまった。 近寄って行くとその子は俊に文句を言っているようだった。 2人の会話を遮る様に俺は俊に話しかけた。 「よっ!俊!誰その愛想の悪い子!」 愛想なんか悪くなかったが、からかい甲斐のありそうな子だったので俺は冗談ぽく笑って言った。 「あっ!こいつ俺のイトコで美華っていうんだ!よろしくな!」 俊がそう言ってる間その子はちょっとふてくされた顔をしてた。 俺が愛想の悪い子って言ったのが気に入らなかったんだろう。 そう思うとまた笑えた。 「俺、翔太!美華ちゃんよろしくね!」 そう言って手を差し出した。 「よ、よろしくね!」 美華… 噛んだよ!しかも手震えてるし! 面白い子だな。 そう思った。 「美華ちゃん緊張し過ぎ!取って食べたりしないから安心して!俺紳士よ?」 そう言って笑って見せた。 するとさっきまで哀しげだったり、ちょっとふてくされた顔だった美華が、笑った。 この時… 美華の笑顔を見て… 俺は… この子の色んな表情が見たい! そう思った。 これが美華と俺が初めて会った日の出来事…  
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