【修繕屋】

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―――・・・いらっしゃいませ、ようこそおいで下さいました。 ここは“修繕屋”。 切れた運命の糸を、修繕させて頂きます・・・――― 【修繕屋】 “修繕屋” それは、この世の何処かにあるという不思議なお店。 ここ、『Little cat』は、表向きは小さなカフェ。 そして、裏の顔。それが修繕屋なのです。 ――チリン・・・。 「おや・・・久しぶりのお客様だ」 「え・・・?」 小さなカフェの扉が開かれ、一人の少女が店内へと足を踏み入れる。 すると、そこは一瞬にして姿を変え、いくつかのテーブルや椅子、そしてカウンターが忽然と消えた。 そして代わりとばかりに奥に書斎机と大きな椅子が現れ、マスターと思われる男がそこに腰掛けた。 「いらっしゃいませ。『Little cat』へ、ようこそ」 「・・・ここ・・は・・・?」 男はフッ・・と笑うと、戸惑う少女に視線を合わせた。 「ここは、『Little cat』の裏の顔。切れた糸を紡ぎ直す、修繕屋です」 「・・・修繕屋・・・?」 「そう・・・貴女の運命の赤い糸、よろしければ修繕致しますが」 「私の・・・運命の、赤い糸・・・?」 「ええ。だってほら・・・切れてますよ、貴女の糸」 少女が男の指差した自分の左手を見ると、小指に赤い糸がくくりつけられていた。 「えっ、何コレ」 「それが貴女の糸ですよ。その糸の先は運命と結ばれているんです。 ・・・本来なら、ね」 男が少女に歩み寄り、糸を手に取る。 「ほら・・・切れているでしょう?このままでは、貴女は永遠に運命の相手と結ばれない。 ・・・申し遅れました、私、修繕屋『Little cat』のオーナーの、鈴鳴 絳夜(すずなり こうや)です。ご依頼、お引き受け致しましょう。どうぞ、こちらへ・・・」
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