夏の終わり

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 僕が戸牧さんに手伝いを申し出ると、村瀬さんと一緒に使い終わった消臭スプレーのガスを抜く様にとお願いする。僕は消臭スプレーの空き缶が数十本入った袋を受け取り、村瀬さんと屋上でガス抜きをする為、社内を出ると、既に二階の踊り場には沢山のゴミが詰まれていて、異様な臭いで空間を包んでいた。  流石に夏場なだけは有る。悪臭が何倍とも増幅されている。僕達は急いでその場を離れる事にしたのだ。  三階の踊り場まで昇ると僕の鼓動が昂る。僕にとって屋上は秘密基地みたいな存在なのだろう。童心に戻った気にさせ、僕はこの懐かし感情を村瀬さんに伝える事にしたのだ。 「屋上って何故かドキドキ、ワクワクするんだよね」 「あっ、分かりますその気持ち。未知の世界に足を踏み入れた時だったり、誰にもバレちゃイケない秘密を保持している時や、隠れて悪い事しているみたいな感じですよね」 「うん、そう! 懐かしいよ」 「そうですね。少し寂しいけど、私達が大人になったって言う証拠ですね」   村瀬さんの微笑みながら言った優しい言葉に、僕も微笑んで頷いた。  忘れ掛けていた感情も一緒に引き連れて、僕達は微笑みながらビルの四階にある未知の世界への扉を開いた。
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