序章

2/5
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
  とても、大きな音がした。         ベシャア!       何かが落ちて割れた様な音で、私はパチリと目が覚めた。 少し前から大きな声で話していたのは気付いていたが、今の音は何だろうか?   今まで聞いたことの無い音だった。     (あ、でも…例えるとしたら…)     そんな事を考えながら、物音が聞こえた一階のリビングへと足を進めた。       コツン、コツン、コツン―…       自分の足音だけが響く空間。 静寂に包まれたこの家が、まるで別世界に迷い込んでしまった様で少し怖い。 階段を下り終わると、リビングからは明かりがもれていた。 暗闇と静寂によって、恐怖に塗り潰されそうだった心に一気に光が射した。     「お母さん!優治さん!」     きっと二人でいるんだ。 多分お母さんがいつものドジで何か落として割っちゃったんだ。   (そうだ、例えるなら―…)     キィ―…    
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!