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照り付ける太陽。
海は穏やか。
吹き抜ける風はなんとも心地いいものだ。
海猫も気持ち良さそうに空を羽ばたいていた。
なのに…………
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
ルナ、ハルト、グレイ、フイシュナの四人は、ただ今干物になりかけていた。灼熱が恨めしい。
後少しすれば死肉を鳥に啄まれるだろう。
何故こうなっているかと言えば、原因は明らかだ。
準備不足!
食料、飲み物共に不十分だった。それもそのはずだ。なんせ誰も航海などしたことがないからだ。
軽視しすぎた。海を、世界を舐めていた。
干物になりかけてこれで三日目。リーヤとジェイガはこの状況に耐え切れず、時の歪みというパラダイスに逃げた。
もう喋る余裕もない。
魔法でなら水くらい容易に出せるが、魔力を含んだ水など飲めたものではない。
ナシュリルでもらったコーヒー豆三樽も底をついていた。
果たして彼らは無事に大陸に辿り着けるのだろうか。
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