1.後悔

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不運は続いた。 凪地帯に入ってしまい、船は進まない。 一同、着実に天国へと近付いています。 ハルトはふと空を見上げた。目を開けるのもつらい状況で。 あぁ、もう死ぬかも…… なんか超巨大な海蛇みたいのが見えるもん…… あぁ、海蛇が美味しそうなルナを舌で搦め捕った~、舌でルナを~……ルナを~……ルナ…… 「を~~~!!!?」 ハルトは物凄い勢いで跳び起きた。今死にかけていたことも忘れて。 目の前には、船など一飲みしてしまいそうな程巨大な海蛇が、コキュートス少女を舌で搦め捕っていた。 ここはすでに、獰猛な海洋生物が棲息する海――獣海だった。 つくづく不運な一同だった。 「ちょっ……フィシュナ!グレイ!」 慌てて二人を揺すり起こすが、 「うるさいです~……」 「静かにしろよ。トイレくらい一人で行け……」 明らかに寝ぼけている。 「お、起きてってば!ルナが大変なことに……って、ルナも寝てるー!」 皆死にかけで目を覚まそうとしない。夢から現実に戻りたくない的なあれだ。 ――現実逃避だ。 海蛇は今にもルナを飲み込みそうだ。 その赤い双眸は、マリンブルーの海には不釣り合いだった。ハルトはまさしく蛇に睨まれた蛙のように萎縮している。 誰だって怖い。 ハルトはものっそい震えていた。
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