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裂けた海蛇の身体からルナがこぼれ落ち、海に落ちた。
「?……?……」
どうなっているのかは当然わからないでいる。
隣に浮かぶ半身の巨大な海蛇を見て、眉間に皺を寄せるしかなかった。
ハルトは気掛かっていた。
「今の……」
右手を眺めるが、何の変哲もなかった。
さっきの感覚に捕われ、首を傾げていると、ルナが浮遊の魔法で上がってきた。
「ルナ」
そんな不可思議な感覚のことは一旦忘れ、ハルトはルナの安否を気遣った。
「大丈夫?」
しかしルナは、
「いくらつらかったからって、死にかけていたからって、私に八つ当たりする必要あったの?」
「ルナ?」
事情を話す暇もなく、
「寝ていて無防備な私を海に落とすか。……覚悟はいい?」
俯き気味だが、魔力が高まっていくのはわかる。
それがハルトに危険を知らせるのよりも、ルナが魔法を使ってハルトを海に吹き飛ばす方が、断然速かった。
「攻撃、風の螺旋」
「うわあぁぁぁ!!!」
ハルトは螺旋を描きながら宙を舞い、海へと落とされた。
そんな戯れの中、海の中では大変なことが起きていることを、ルナ達は当然知らなかった。
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