2.弱き紅蓮の片鱗

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裂けた海蛇の身体からルナがこぼれ落ち、海に落ちた。 「?……?……」 どうなっているのかは当然わからないでいる。 隣に浮かぶ半身の巨大な海蛇を見て、眉間に皺を寄せるしかなかった。 ハルトは気掛かっていた。 「今の……」 右手を眺めるが、何の変哲もなかった。 さっきの感覚に捕われ、首を傾げていると、ルナが浮遊の魔法で上がってきた。 「ルナ」 そんな不可思議な感覚のことは一旦忘れ、ハルトはルナの安否を気遣った。 「大丈夫?」 しかしルナは、 「いくらつらかったからって、死にかけていたからって、私に八つ当たりする必要あったの?」 「ルナ?」 事情を話す暇もなく、 「寝ていて無防備な私を海に落とすか。……覚悟はいい?」 俯き気味だが、魔力が高まっていくのはわかる。 それがハルトに危険を知らせるのよりも、ルナが魔法を使ってハルトを海に吹き飛ばす方が、断然速かった。 「攻撃、風の螺旋」 「うわあぁぁぁ!!!」 ハルトは螺旋を描きながら宙を舞い、海へと落とされた。 そんな戯れの中、海の中では大変なことが起きていることを、ルナ達は当然知らなかった。
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