2.弱き紅蓮の片鱗

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「はぁ、はぁ、死ぬかと思った……」 どうにか上がってくることができたハルト。濡れた身体は放っておいても乾くため、今再優先すべき事項は、 「ルナ~」 ルナの誤解を解くことだった。 すっかりむくれて顔を向けようとしない。ハルトは近付きがたい雰囲気に駆られながらも、ルナの方へ歩を進めた。 が、 「うわっ!」 運悪く、ハルトは甲板に躓いてしまった。 バランスを失い、ハルトは…… 何かあったのかと、振り向いたルナを押し倒した。 向かい合う二人。 顔が近い。 ルナは自らが感じていた不機嫌を忘れ、ほんのりと顔を赤らめた。ハルトの顔も紅潮している。 お互いの感情が一致している二人だ。 この状況をチャンスと言わず何と言う! 幸いグレイ、フィシュナは眠っている……ってか気絶か? 「ルナ……」 「ハルト……」 そういえば、まともに唇を重ねたことなどなかった。事故や偶然、成り行き。 たまにはいいかな、ルナの脳裏に響く言葉。 ルナは目を閉じ、ハルトを待った。 やはりこうゆう時は男がリードするものだ、と思う。だって女の子だもん! 自分を待つルナの姿は、とてつもなく可愛かった。 ハルトはゆっくりと腕を曲げていき、呼吸を調えながら、ゆっくりと近付く。 ゆっくりと、ゆっくりと。
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